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【第1回】教習所Re Visit! 〜今、自動車教習所に期待すること〜

[対談]

自民党 加藤紘一衆議院議員

平成21年2月4日 午前11時30分から

永田町 衆議院第2議員会館にて

インタビュー: 青年会議所 教習所部会 2009年度部会長 矢澤文建

 

【プロフィール】

加藤紘一(かとうこういち)

1939年 山形県出身、自由民主党 衆議院議員。山形県第3選挙区選出、当選12回。

東京大学法学部卒、外務省を経て1972年初当選、防衛庁長官、内閣官房長官、自由民主党幹事長を歴任。

2009年の麻生総理大臣の施政方針演説において、交通安全対策に関する方針が語られたことは記憶に新しい。2008年において、交通死亡事故者数は5100人台となった。第8次交通安全基本方針で謳われた、交通事故死亡者を年間で5000人以下に止めるという目標は、概ね達成されるであろうという状況下において、この先10年間でさらにその半分の2500人を目標にしたいという意欲的なものであった。今後の交通安全政策を見据えた中で、さまざまなゲストを対談者に迎え、教習所業界の展望を語っていただく企画として本対談がスタートした。第1回目のゲストには、自由民主党 加藤紘一衆議院議員をお迎えし、口火を切っていただいた。

 

■交通安全に携わって

— 長年に渡り交通安全議員連盟の会長を務められ、今年で11年目になられるそうですね。

 

加藤:はい、そうですね。その当時の自治大臣を終えたばかりの白川勝彦さんに請われて、引き受けました。地味ではありますが、長く携わって参りました。

 

— 昨年は飲酒運転撲滅のNPO法人MADDjapanさんの総会にも出席されたとお聞きしました。そのほかにもさまざまな会議や各種団体の活動に積極的に参画されて、ご活躍のご様子が伺えます。さてそうしたなかで、日本の交通事故による死亡者数自体は、減ってきています。

 

加藤:減っているんですね。

 

— しかし交通事故の発生件数は、減ってきていないという状況です。また、交通違反の検挙件数自体を考えますと、実際には増えているのが現実です。ところで、麻生総理の先の施政方針演説では、今後10年で、交通死亡事故者数を、年間で2500人以下にとどめようではないかと、発表されたところです。これを踏まえ、まず先生にコメントをいただければと思うのですが。

 

加藤:そうですね、事故については死亡者数はここ10年ぐらいは格段に減少してきていますね。確か昭和45年位かな、16000人くらいのピークだったんですけど。去年は5100人と、3分の1以下になったんですね。浮き沈みはありながら、最近の法律改正で、飲酒運転にかなり厳しくしたのが効いている。僕の田舎なども、「まぁビール一杯くらいは良いだろう」と。「酒気帯びって言うのは犯罪じゃないんだ」というくらいの気持ちでいたんだけれども、もう最近は、ちょっと酒気帯びだけで免許が取り上げられちゃうんじゃないかという恐怖感がはしっているから、そういう飲酒運転の抑止力としては非常に良いんじゃないのかなと思っています。特に福岡の事件(2006年8月、加害者=福岡市職員)では3人のお子さんが犠牲になられた。法被姿の3人の可愛らしい写真が無残にも暗転してしまった。あの時は議連でも相当なショックをもって受け止めました。当時警察庁の交通局長は矢代さん(矢代隆義氏、第86代警視総監)だったんだけれども、あの事件の被害者のお母さんと一緒に会議にいらっしゃって、その様子を語ってくれたんですよ。「子供を助けるためにお母さんは何度も何度も川に潜って助けに行かれました。しかし結局助けられなくて」と。嗚咽して最後にはしゃべれなくなるほどでした。あの事件は象徴的でしたね。各警察官はあの事件からまた必死になっているんですね。あれから急激に(飲酒運転の事故件数が)下がって、目を見張る成果が見られました。交通局長から警視総監になられる方はめったにいないですけれども、警察庁も粋なもので、矢代氏の働きを認めて警視総監まで昇進されてますよね。

 

■交通安全を実現する、主体は誰か?

 

加藤:ところで、事故のケースですが日本の場合には歩行者が被害を受けるということが多いですよね。3割はそうですよね。アメリカなんかは事故を起こしても、運転者そのものが激しい損傷を受けることがほとんどだけども…

歩行者で、高齢者の被害者の割合は5割、15歳以下の若年層では4割を占めているということですから、まだまだその交通の場面で見ると、高齢者・幼児というのは弱い立場にあるわけですよね。で、3000ccの車をドライブする人は強い立場ですよね。トラックなんか特にね。自分たちが、凶器を扱っているんだという意識がまだ低いんでしょうね。そこをこれからどう扱うかということが課題なんだと思います。

 

— 先生のおっしゃる通りです。飲酒運転は法改正による厳罰化が、抑止力となってくれている。また、現場の警察官の方が日々頑張ってくださっている。一般の人から疎まれながらも、そういうことによって、自分たちの運転行動が切り替わってきているんですね。ただ、頑張っていただいてるのが、関連する職業の人や現場の最前線の方々だけであるという感があります。

 

加藤:交通安全て言うのは、交通行政に携わる人、それから交通機関、たとえばバス会社や運送会社に勤める人たちが、実現していくものだとか、務めだと思われてる。さあ、では一般市民の人は、「これから自分は交通安全のためにどういう責任があるか?」ということに意識を高めてもらうことがひとつポイントですよね。

 

— 同感です。この先日本がもうひとつ高い次元で交通安全を実現していこうとするときに、もちろんいろんな課題がほかにもいっぱいこの国にはありますが、一人一人がそういう関わり方をしていかないと、一人一人の意識や行動が切り替わらない限り何も変わらないんですよね。

 

加藤:あなたがおっしゃったとおり、隣の助手席に誰かいたとすると、その二人の会話は「おい、点数取られちゃうぞ」だとか、酒気帯びの場合なんかは、奥さんなんかは「あなたそれじゃ免許取り上げられて生活できなくなるじゃない、あなたの仕事なんだから」という会話なんですよね。理想論ではあるけれども、「取り締まられるから交通安全」ではなく、「市民の意識として交通安全」という風に、いつか切り替わっていかなくてはなりませんね。取り締まられなくても、世の中に警察官がいなくても、酔っ払い運運転をして他人を傷つけたら、それは悪なんですよね。一人一人がどうやって高まっていくとか、倫理的な感覚の高まりを、何とか仕向けていかなくてはいけないと思うんですね。

 

■自信の運転経歴

 

加藤:僕は大学2年のときに免許を取りました。普通は教習所でドライビングを習うのに、僕は教習所の指導員の方に直接習って、山形県警の試験場に直接受験に行って合格したんですよ。

 

— ああ、そうなんですか。

 

加藤:「実地試験免除」じゃないんだな、僕は。

 

— それはまた素晴らしいですね。

 

加藤:相当、僕はそのことにプライドを持っているんだよね。

 

— 当時もそう簡単には合格はさせてくれませんからね。

 

加藤:で教官に連れられて、上山試験場ってのが山形県にあるんですけども、そこに行って、38人くらい受験者がいて、15人しか受からなかったんじゃないかな。あの時は感動してねぇ。教官と抱き合って涙を流したのを覚えてますね。(笑)うれしかったなぁ。

 

— いい思い出ですね。

 

加藤:僕は昔、台湾でも運転したことがあります。まだ整備されてない道路でね。輪タクって言う、人力のタクシー代わりの乗り物がいっぱい走ってるころなんだけど、ひどいものでした。もう交通道徳ゼロ。そういう一般自動車が運転しているところで2年過ごしたんですけれども。そりゃそんなところで暮らすと荒っぽい運転になるよね。それからアメリカのハイウエイを運転したこともある。時速109マイルで走ったことがあるね。だから時速200キロ近くになるのかな?(時速180キロ前後)若いころに運転したことがありますね。(笑)

 

■自動車教習所という機関への期待

加藤氏の運転免許取得に関わる考え方の原点を伺えたエピソードであった。厳しいトレーニングを受け、困難を乗り越えた末に達成する運転免許取得の喜びに、自身の体験を重ね楽しく語っていただいた。いわゆる体育会的な、硬派な素顔が見受けられた。教習所業界が現在おかれている状況は、過去と比較してお客様に対する姿勢は大きく変化している。ともすれば、お客様に迎合しているとも取れる教習所が散見される。最後に交通安全を実現する、教習所への期待を語っていただいた。

 

— 話は変わりますが、以前先生は教習所業界を厳しく批判していただきました。私は、先生の意見に賛成するものの一人です。今の教習所は、社会の一機関として、「役に立ってないのではないか?」と私見ながら思うのです。お客様が減少している現実の中で、ダンピングにばかり意識が向いている。日本人自体が高まらなくてはいけないというところに、業界が関わる必要があると思います。先生から、交通安全を実現する社会の機関としての自動車教習所業界へ、エールを送っていただきたいのですが。

 

加藤:今はまだ最低限、ライセンスを取らせるところでとどまってますね、教習所は。消費者の感覚としては、最小限の時間で、簡単にライセンスを手に入れてしまいたい。免許を手にしたら、生涯縁切りとなってしまうんですよね。もっとね、自動車学校って皆が行きやすい施設にできるといいですね。自分からチェックにいけるような。何度も通えるような、楽しい、ドライビングの再チェックの場所になるといい。それはお役所の指示で行うものではなくって、義務付けるものではなくって、気楽にいける場所であると面白いんじゃないかな。でも、免許もらっても、うまい下手はありますね。

 

— ええ、個人差はありますね。

 

加藤:僕らも選挙のときになると、運転手の方がボランティアできてくださるんだけど、毎年もう決まった人になるんだよね。実に絶妙な運転をする人がいる。かと思えば、20分でもう一生乗りたくないと思う人もいる。(笑)だから法的な義務とかでやるのとは違う範囲で、運転の上達をトレーニングできるような、楽しい場所になってほしいと思いますね。頑張ってアイデアを積み上げていただきたいと思います。

 

— 最後に、青年会議所教習所部会の若い経営者に対して一言お願いします。

 

加藤:青年会議所の皆さんは各地域において働いてますよね。各地域社会というのは、これから日本人が心のよりどころとする大切なものとなるでしょう。その地域社会の中でJCの皆さんが活動されているわけです。今の社会では、そういう40代以下の人が数多く集まれる機会が少なくなってきました。だから、地域社会を支えるのは、自分たちJCと自負してほしい。あと、公立小学校区での、子供の教育を通じてのまとまり。スポーツ少年団とかね。長野県なんかでは、お祭りを通じてのまとまりとかね。長野って多いんだよね、お祭りとか。みんなが研鑽を積んで、ごく自然に集まれる。そういう集まりの中でも、JCは力を持ってるわけですから、ぜひ頑張ってほしい。教習所部会のメンバーは、その中でも日々生きている人たちの命を守る組織なんだという自負を持ちながら、なおかつ楽しい寄り合いの場所になってほしいですね。「教習所ReVisit」。全ての人が、再び訪ねる場所になってほしいと思いますね。

 

— 心して取り組んでまいります。今日はどうもありがとうございました。

ajima

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